それでも君を愛せて良かった
(きっと、女の人の肌はこんな感じなんだろうな…
髪もとってもしなやかだ…
何で作ってあるんだろう…?
……もしかして、本物の女性の髪?)



どこか少し怖いような…そして、後ろめたいような気持ちを抱きつつも、僕は人形のその感触に夢中になっていた。



(こんな窮屈な所じゃ、この子も可哀想だ…)



僕は、人形の半身を抱き起こした。



(あ……)



起こした人形の瞳が開き、深い湖のような青が僕の方を見据えた。
その表情は、たとえようもない程に悲しく…今にもその大きな瞳から涙の粒が零れ落ちて来るのではないかと思えた。



「どうして…
君はどうしてそんなに哀しい瞳をしているの?
……可哀想に……可哀想に……」

僕は思わず人形の身体を抱き締めた。
固くて冷たい人形の身体を…
それが、おかしなことだということはわかってる。
だけど…それでも、僕はそうせずにはいられなかった。
彼女を少しでも慰めてあげたかったんだ。


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