それでも君を愛せて良かった




「出来た…!」

僕は嬉しくて、その言葉を思わず声に出していた。



「……やっと出来たか。
どれどれ。見せてみなさい。」

僕は、今、出来あがったばかりの指輪を父さんの目の前に差し出した。
父さんは指輪に目を近付け、細部までじっくりと観察する。
ファビエンヌのことを想いながら全力を尽くしたつもりではあったけど、その結果、どんな評価を受けるのか、僕はどきどきしながら父さんの言葉を待った。



「……アベル、けっこう良く出来てるじゃないか。」

「ほ、本当!?」

「あぁ…いつの間にこんなに技術を覚えたんだ。
しっかりとした仕事だ。
まぁ、完璧とは言えないが、こんなに出来てるとは思わなかった。
ただ、サイズはもう少し大きい方が良いな。
女性物にしても華奢過ぎる。」

「……そうだね。
今度はそうするよ。」



指輪はファビエンヌの指のサイズに合わせたものだった。
彼女の陶器の指は、確かに一般的な女性の指よりも華奢かもしれない。



「よし、アベル。
この調子でもっと精進するんだぞ。
……おまえにも早くこういうものを贈れる相手が出来れば良いんだけどな。」

父さんはそう言って微笑みながら、僕の作った指輪を返してくれた。



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