それでも君を愛せて良かった




「よぅ、アベル!
元気にしてたか?」

洗濯物を干している時、背中から聞き覚えのある声がかけられた。



「に、兄さん!
突然、どうしたの!?」

「あぁ…ちょっとな。
父さんはいるか?」

「う…うん。父さんなら作業場に…」



唐突に現れた兄さんは、少し眩しく感じる程、垢抜けてかっこよく見えた。
兄さんは都会の町に行って以来、ほとんどここへ帰って来ることはなかった。
確か、一度か二度帰って来ただけだったと思う。
僕や父さんの誕生日やクリスマスにはカードを送って来たりはしていたけれど、手紙も滅多に来ることはなかった。



「ケイン、ケインじゃないか!
一体、どうしたんだ!」

「なんだなんだ、父さんもアベルも。
ここは俺の育った家だぜ。
そんなに驚く事はないだろ?」

「そんなこと言ったっておまえ…
もうここ何年も顔を出さなかったじゃないか。
なにかあったのか?」

「……まぁな。」



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