それでも君を愛せて良かった
「えっ!?おまえ…確か二十歳だよな?
二十歳にもなって仕事だけやってるのか?
そんなんで我慢出来るのか!?」

「兄さん、そんな話なら僕はもう寝るよ。」

「ま、待てって。」

席を立とうとした僕の手を、兄さんが引き止めた。



「すまなかったな。
おまえは本当によくやってる。
父さんもすごく誉めてたじゃないか。
その指輪もおまえが自分で作ったんだってな。
サイズ直しも自分でやったらしいじゃないか。
おまえには才能があるって父さんすごく嬉しそうだったぞ。
それに……久し振りに会ったおまえは、以前に比べてなんていうか…
そう…自信がついたような感じに見えた。
少し男らしくなったっていうかな。
だから、もしかしたら女でも出来たのかなって、ちょっと思っただけなんだ。」

「ぼ…僕は…好きな人は……」

「いるのか!?」

どう答えるべきかと躊躇った僕は、ただ曖昧に微笑んだ。
兄さんがそれをどういう風に受け取ったのかはわからなかったけど、その後も兄さんは他愛ない話を続け、結局、明け方まで僕はその場を離れることが出来なかった。
ファビエンヌは僕が行かなかったことをきっと心配して、寂しがっているはずだ。
そのことが気にかかりながらも僕はその場を離れるタイミングを掴めなかった。
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