それでも君を愛せて良かった
まさか、物置きにそんなものがあるとは思えないけれど、万一ということだってある。
何かの偶然でたまたま紛れこんだかもしれない。
僕は、扉に近付き、南京錠に力を込めて揺さぶった。
何度か揺さぶった後、南京錠は僕の力で扉の一部と共にもぎ取られた。



ランプを手に扉を開くと、そこはほぼ予想された通りの狭い部屋だった。



「ひっ!」



部屋の奥に置かれたものがランプの明かりで照らし出され、それを見て僕は足がすくみ、僕の喉からはおかしな声が発せられた。



(ま…まさか……)



固まった足をゆっくりと前に出し、僕は恐る恐るそれに近付いた。
一瞬、柩のように思われたそれは、良く見ればただの木の箱だ。
その形状が、ちょうど柩と似ていたから早合点をしてしまった。
僕はほっと胸を撫で下ろした。
こんな所に、柩があるはずがないじゃないか。
何を考えてるんだ、僕は…

箱に近付き、僕はまるでもう臆病だったあの頃とは違うんだということを証明するかのように、その蓋を開いた。



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