上司がキス魔で困ります

 そして蘭ちゃんはすっとソファーから立ち上がると、
「着替えてくる」
と、部屋へと戻って行った。


 自分勝手かぁ……。

 蘭ちゃんの言葉はビシバシと私を打ちのめした。


 確かにペースは速すぎると最初から思っていた。
 いきなりの彼女で、キスして、そしてキスして、デートして……キスして。
 一方私はおっかなびっくりしながら、それを受け入れて……気がつけば好きになっちゃって。こうなってるわけで。


【めぐちゃんの人となりを知っていたらもっとゆっくり進めるよ。】


 蘭ちゃんの言葉がグルグルと頭の中を回り始める。


 良悟さんは私が入社してからずっと上司だ。
 
 私の目には、彼は仕事ができるけどそっけなく女子を振る人だった。それだけの人だった。

 そんな彼の目に私はどう映ってたんだろう。

 どうして【今】なんだろう……。




< 132 / 188 >

この作品をシェア

pagetop