上司がキス魔で困ります
そして蘭ちゃんはすっとソファーから立ち上がると、
「着替えてくる」
と、部屋へと戻って行った。
自分勝手かぁ……。
蘭ちゃんの言葉はビシバシと私を打ちのめした。
確かにペースは速すぎると最初から思っていた。
いきなりの彼女で、キスして、そしてキスして、デートして……キスして。
一方私はおっかなびっくりしながら、それを受け入れて……気がつけば好きになっちゃって。こうなってるわけで。
【めぐちゃんの人となりを知っていたらもっとゆっくり進めるよ。】
蘭ちゃんの言葉がグルグルと頭の中を回り始める。
良悟さんは私が入社してからずっと上司だ。
私の目には、彼は仕事ができるけどそっけなく女子を振る人だった。それだけの人だった。
そんな彼の目に私はどう映ってたんだろう。
どうして【今】なんだろう……。