上司がキス魔で困ります

 そのことに少しだけホッとしつつ、課長席の前に立った。


「なんでしょうか」
「明日、佐々木産業から直々に打ち合わせの指名が入っているんだが、どうする」
「えっ……」


 言葉が詰まる。

 佐々木産業というのは、ついこないだ、私が良悟さんの彼女になった夜、セクハラじみた接待を強要されてうんざりしたところなのだが……。


「行きます……」


 魂が口から出そうになるが、なんとかこらえることに成功した。


「一緒に行こうか」


 良悟さんがクールな表情で私を見上げる。



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