上司がキス魔で困ります
課長という立場あっての話だろうけど、もしかして心配してくれてるのかな……。
甘い期待がムクムクと膨らんだが、仕事のことで良悟さんに甘えたくないというか、わたしだって出来るんだぞと言いたいというか、そんな見栄が、甘えを押しのけて前に出た。
「大丈夫です」
はっきりと、良悟さんの目を見て返した。
「……そうか。では頼む」
「はい」
ぺこりと頭を下げてデスクに戻った。
そういえば、今更だけど良悟さんって昔からこうやって何かと気を配ってくれてたなぁ……。
わかりやすいわけじゃないんだけど、それこそ私が新入社員の頃から……。
ふと、思い出の扉が開きかけたその時、
「春川ちゃーん」
安良田がデスクから私を呼ぶ。