上司がキス魔で困ります

 大丈夫だとわかっているけれど、良悟さんに迷惑がかかったらどうしようと思ったら怖くて、じわっと涙が浮かんで、もう我慢もできなくて。

 いてもたってもいられなくなって、声を出して泣いてしまった。


「うっ……ううーっ……」


 そういえば会社で泣くとか、久しぶりかも……。なんてね。ハハ……。


 そうやって、誰もいないからいいやと豪快に泣いていたら、ガタンと音がした。

 顔を上げると、良悟さんがデスクや椅子にぶつかりながら、私のところにやってくるのが見えた。


「……っ」


 好きすぎて、怖くなるって気持ちを初めて知った。

 思わず立ち上がり、あとずさって逃げようとしたら、
「めぐ!」
と、良悟さんの腕が伸びてきて、壁に押し付けられていた。



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