上司がキス魔で困ります
「殿下のシスコンぶり、ちょっとビョーキかな?ってレベルだもんね」
ちなみにミノリの言う『殿下』というのはもちろん蘭ちゃんのことだ。
部活がない時とか、ちょいちょい私の中学、高校と迎えに来ることがあって、学校中の女子からは、その神々しい犯し難さから、王子を通り越して『殿下』と呼ばれていたのだ。
(ちなみに私は、周囲からは村娘その三と言われていた。一ですらない!)
「これ、グロスね。もう使わないやつだからあげる。トイレに立ったら薄く塗っておけばいいわ」
「ありがとう。今度カウンターにどさっと買いに行くね」
「じゃあノルマきつい月にお願いするわ」
冗談ぽくミノリは笑い、それから壁にかかっている時計を見上げた。