上司がキス魔で困ります

「めぐっ、寝ないっ!」
「はっ、ごめん!」


 慌ててカッと目を見開いたりなんかして。

 まぁ、そんな感じでドタバタしつつも、仕上がりはさすがプロ、未だかつてないくらい最高に女の子っぽい自分が出来上がったのだった。


「わぁ、すごい……まるで私じゃないみたいだ。ありがとう、ミノリ」


 鏡の中の自分を取っておきたい気分だ。


「いや、めぐは普段何もしなさすぎなだけで、素材は悪くないから。化粧映えするタイプだし、このくらいできるようになるわよ」


 満足げミノリはテキパキとメイク道具を片付け始める。


「っていうか、上司とデートするって殿下に話してないの?」
「言えるわけないじゃん……」
「だよねぇ」


 力一杯否定する私に、当然と言わんばかりにうなずくミノリ。



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