上司がキス魔で困ります
「これを見ます」
私が選んだ映画は、世紀末感あふれるアクションヒューマンドラマだった。アカデミー賞受賞作で、リバイバル放映されているのだ。
チケットは課長が買ってくれた。
お金を出そうとしたけど、
「春川くん、これはデートだから」
と断られてしまった。
毎回奢られるのも心苦しい。(モテないから奢られ慣れてないのだ。)
「じゃあせめて飲み物くらい買わせてください」
ということで、課長の分のホットコーヒーと私のコーラ、甘いポップコーンを買わせてもらった。
やっぱり映画にはポップコーンとコーラだよね。
座席は六割がた埋まっていた。
中央よりやや後ろ、スクリーンに向かって左に課長、右が私だ。
指定の座席の間の所定の位置にポップコーンを置こうとすると、
「春川くん、それじゃあ映画を見ている間に手が繋げないだろう」
と、却下されてしまった。