上司がキス魔で困ります

 これもまた私の中では伝説化していた、いわゆる恋人つなぎというやつである。

 ドキドキする。ちょっとやめてほしい。これでは映画どころではない。


「春川くん、あーん」
「あーん?」
「ポップコーン口に入れて」


 甘えん坊かよ!?

 と思ったが、いつまでも上司にぽかんと口を開けさせておくわけにはいかないので、慌ててポップコーンを課長の口の中に放り込んだ。


「甘い……」
「甘いのが好きなんです」
「ふぅん」


 キャラメル味のポップコーンを不本意そうにもぐもぐする課長のことを、ちょっと可愛いと思ったのは内緒だ。

 だけど課長の口の中にポップコーンを放り込んだ手で、ポップコーンを食べるのは、もっと緊張したことはさらに内緒にしておきたい。



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