ネコと上手に付き合う方法



「本当に素敵なライブでしたね。」



帰り道、小乃美は未だに余韻に浸っていた。



「これ。」



そして突然、紙袋を俺の前に差し出した。



「Happy Birthdayです!」


「知ってたの?」


「もちろん!」


「開けていい?」


「はい。」



包み袋を破らないよう丁寧に開けていくと、出てきたのはブルー系マルチストライプ柄のマッセルマフラーだった。



「手編み?」


「まさか!」


「ふ、知ってる。」



早速首に巻いてみる。



うん。凄く良い。



「ずげぇ気に入った。ありがと。」



小乃美の頭を撫でると、



「こらからは喉も大切にしないといけませんからね♪」


「え、もしかしてそれも知ってたの?」


「さぁ?秘密です♪」


「小乃美は秘密ばっかだな。」



おでこをくっつけてグリグリする。



「でも、本当に素敵なお友達ですね。」


「ああ。」



本当に俺は恵まれている。



「小乃美。」


「はい?」


「これからは忙しくてお前に寂しい思いをさせることもあるかもしれないけど…」



小乃美の小さな手を握る。



「それでも、ずっと隣に居てくれないか?」



すると小乃美は、



「俊くん。」



柔らかい笑顔を俺に向けた。



「猫はご主人様が手放さない限り、側から離れることはありませんよ?」



その笑顔と言葉に、俺は泣きそうになった。



「…そうか。」



あぁ俺は、本当に幸せ者だ。



「俺も、一度飼うと決めたら死ぬまで手放さないよ。」



小乃美の顔に触れると、小乃美はその手に摺り寄り、



「はい。」



幸せそうに微笑んだ。




―俺とこのネコとの物語は、まだ始まったばかりだ。




     《ネコと上手に付き合う方法・完》
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