役立たず姫の一生〜永遠の誓いを貴女に〜
容姿はイマイチな私だったけれど、学問はそこそこ優秀だった。

エリン様がつけてくれる沢山の教師達はみんな私を褒めてくれた。

それが嬉しくて、子供の頃は勉強ばかりしていたように思う。


父上に会えなくても、侍女に馬鹿にされようとも、母とエリン様がいてくれれば私は十分に幸せだった。


けれど、幸せな日々は長くは続かず・・


王宮内にまで猛威をふるった流行病で私は母とエリン様を立て続けに失った。

深い悲しみのあまり、私は数ヶ月間声を出すこともできなくなった。

自室に引きこもっていたその間に、新しい正妃としてアンヌ様がサレフから嫁いでこられ、沢山いた私付きの侍女はみんな去っていった。


私の住まいは王宮の隅の小さな離れに移り、数名の侍女と細々と暮らすことになった。
そのことに不満は全く無かった。

華やかな暮らしがしたいなどという前向きな気持ちにはなれず、いつまでも喪に服していたいくらいだったから。


そして、気がついた時には私は容姿も血筋も頭脳も何も持たない役立たず姫だと噂されるようになっていた。

幸いなことに、その頃にはアンヌ王妃が弟ミリアムを出産していたので私が役立たず姫でも我が国はさほど困ることはなかった。

私の事を気にかける人間など王宮にはいなくなったので、好きな本を読み漁ったり庭を散歩したり自由気ままに暮らしていた。

彼と出会ったのも、本当に偶然だった。
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