甘い誘惑*短編*






堪えるような嗚咽を漏らす私をさらに強く抱きしめた。



「俺、情けないけど怖かったんだよなー。お前の隣があまりに心地いいからさ

…もし言って無理だったとき考えたらどうしても言えなかった」



だから、ごめんと謝った先輩は私と同じことを考えていた



普段平然としている先輩がいよいよ情けない声を出すので面白くなってきた



「じゃあ、お互い様ですね」


「…なんで嬉しそうなの」


「いやー、もう好きですよ、先輩」



ようやくたどり着いた腕の中、そこから笑顔を向けると先輩も笑顔を返す





でもそれはニヤリと意地悪な笑み




「さて、ここで問題です」




あまりの唐突な会話に首をひねる。



その口元の笑みに嫌な予感しかしない。






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