影姫にあいを
助けて

暖かい手が体温の低い私の頬に触れる、その感覚で目がさめた。

「起こした?」

少し驚いたように言うその人はさっきの手の持ち主らしい。

「誰、ですか?」

「そーだったね。俺は白原 優(しろはら ゆう)で情報屋してる。敬語はなし、呼び捨てにして。」

情報屋の人なのか。若いのに裏の世界にいるから落ち着いた雰囲気なんだろう。

ベッドで寝たまま話していることに気付き起きあがろうとする。

「いたっ!」

今回は暴れすぎたらしい。体じゅうが痛い。

「話聞きながら、背中とかお腹とか手当してもいい?見えてるとこしかできてないんだけど。」

コクンと頷く。

この体じゃどっちみち帰れないし
お言葉に甘えることにした。

それに悪い人ではない気がするし。
< 12 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop