恋愛船〜jast two〜

揺船…ゆらゆら




……ふぁーぁ。


おっきなあくびをして、学校の門をくぐる。


校門から見える北校舎が目にはいって、
昨日のことを思いだす。






──────…………






「こんなところに呼びだしてごめんなさいっ」


両手を胸の前でにぎりしめて、
目をぎゅっとつぶって、
俺の目の前で不安そうにあやまる。


「いいよ、べつに」


花恋と同じ、
薄ピンク色のカーディガンを着る女の子。


いままで、そんな色を着るのは
花恋しか見たことがなかった。


だからか、顔は全然ちがうのに
この子を見ていると花恋を思いだしてしまう。


「あのっ!」


つぶっていた目をあけて、俺をまっすぐに見る。


クリっとした大きな瞳。


「詩織、先輩が好きなんです!」


手紙をもらったじてんで、
まぁ、だいたい予想はしていたけど。


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