月の光に照らされて
朝早くから騒がしい一つの長家。バタバタと駆け回る子供達に紛れて、背丈一つ飛び出た少女がいろいろと世話をしている。母親らしき人が二人、食堂で机を並べて食事を置く。母親と呼べども、まだ成人に満たないぐらいで、少女などまだ十歳ぐらいだ。

保育園なのだろうか、とそれぐらいの子供達が食堂にそろうと、大きな「いただきます」と言う声が響き渡り、皆の手ががむしゃらに食事へと伸びる。

食事が終わると、子供達は部屋に帰り、玩具やボールで遊び始まる。母親がわりと少女は、汚れた皿や器を洗い場に持って行き、少女が濡れた布で机の汚れを拭く。



それが全部片付くと、今日は掃除ということで皆ではたきと布をもって、一斉に行動を始めた。



みんな一生懸命に掃除をし終わる頃には、もう昼前になり、昼食の時間といきたいが、ここでの食事は朝と夜の二回しか取れないほどの食糧不足であり、自給自足での生活を欠かせない。この後には畑にいって、水やりと雑草抜きをする。

ここには男手がいないせいか、川から水を汲んで坂を登るは辛い。それに十は往復しなければならない。

それを毎日三人がやっているのだから驚きだ。



買い物にしても、街から離れているために一回行くだけで一苦労。


「リキア、明後日は買い物の日だから、お留守番お願いね」

「わかった、マキ姉ちゃん。いつも通り任せてね」

「十日に一回とはいえ、あの距離を歩くのはしんどい。男手がほしいものだ」

「仕方ないわよ。男の人達は皆、戦に連れていかれたんだから」

「わかってるよ。マキも私も、それに全てを奪われたんだから。まぁ、ここにいるおかげで食には困らないけどさ」



この大陸は二つに勢力が分かれていて、今その二つは戦争で少しでも兵力を増やそうと、十歳以上な者は借り出されている。今は子供も大人も関係ないのである。武器を持てば戦いの意を示しているのだ。


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