奥さんの身柄、確保!
第5話 奥さんの身柄を確保する
 程なく、赤いランプを回しながら、柿田巡査が呼んだパトカーがやって来た。

 近所のヤジウマ達が、なんだなんだと顔を出す。

「やあお疲れさん。手柄だったな、柿田」

 知り合いらしい年輩の警官が、彼の肩をポンと叩いた。

「はっ、田部巡査長も御苦労様です!」
「しかしオマエ、一体何でここに?…しかもその格好」
「イヤあ…ハハハ…」

 柿田巡査は何やら仕事上のやり取りを続けている。
 後ろに控えていた私は、パトカーに乗せられようとしている犯人の男の方をチラと見た。

 哀しそうに、力なく首を振ったその顔に……

 見覚えがあった。


 ほどなくしてパトカーが引き揚げると、人だかりも散り散りに解け、後には、私と柿田巡査だけが残った。

 
< 22 / 30 >

この作品をシェア

pagetop