探偵の彼に追跡されて…
俺は部屋に戻って来た。ひょっとして美野里が戻っているかもしれないからと思って…
だが、美野里は戻って居なかった。

俺は寝室に行きベットに腰かける。

「美野里… なぜ?何故だ!!」

ベット横のサイドテーブルに目が行く。そこには退職願いと俺が渡した指輪が置いてある。

俺は膝から床へ崩れ落ち頭を抱える。

そんなにこの指輪が気に入らなかったのか!?
なぜ言わない!?
そんなに嫌なら言ってくれれば…
なんとしてでも外したのに…

違う…
俺が悪いんだ…
女避けになるからと嵌めていた
俺が悪いんだ!
クッソー!!
なんて俺は馬鹿なんだ!!

あれは7年前。
当時付き合っていた女と街を歩いていた時道端で売っていた指輪を巫山戯て嵌めてしまったら抜けなくなってしまった。当時の女に『女避けに嵌めていてよ』と言われて仕方なく買った物。
その時の女と別れてからも仕事柄夜の店にも行くから愛妻家を装っていれば面倒なことは無いと思って外さずに居た。
だから女から貰ったものでもペアーリングでも何でも無い。

美野里すまない…
お前の気持ちをもっと考えるべきだった…

俺は美野里の携帯に掛けるが何度かけても虚しいコンピューターの音声が流れるだけだった。

「美野里… どこにいる… 帰って来てくれ…」





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