探偵の彼に追跡されて…
目を覚ますと隣には所長の顔が合った。

私は、所長の前髪をそっと上げる。

「綺麗な顔…」

「そんなに見つめられると困るんだけど?」

所長はクスッと笑う。

えっ起きてたの?

「っすいません」

私は、慌てて目を逸らす。頬が熱い。多分顔は赤くなっているだろう。

「美野里、可愛すぎる」

「え?」

今、美野里って呼んでくれた?

嬉しいような…悲しいような…複雑… だって所長には奥さんが居るんだもん。
私には不倫なんて無理だもん…
所長とは一度だけ…一度だけの関係。

「お腹空いたね? 昨日は何も食べなかったもんな?」

「私もチョコ食べただけでした」

すると所長は何か思い出したように「あっ」と声を上げた。

「どうしました?」

「違う! 俺、美野里を食べたんだ!」

えっーそれは…

「やっぱり朝飯はいいや!また美野里を食べる!」

所長は私に覆いかぶさって来た。

「ちょっと待って!」

「待てない!」

嘘…

一度だけと思っていたのに好きな人に求められて拒める筈もなく、私はまた所長の首に腕を回してしまう。

ごめんなさい…

そして幸せの波に再び飲み込まれた。


その後ベットを出ると所長が一緒にシャワーを浴びようと言われたがそんな事出来る筈もなく丁重にお断りした。

そして所長の後にひとりでシャワーを浴び昨夜所長が言ってくれた様にあの痣は消えた。いや消えたのではなく所長に新たに付けられた沢山の花びらで隠されたのだ。

その花びらを見て感じてはいけない幸せを感じ、また、まだ知らない所長の奥さんやお子さんに謝るのだ。

ごめんなさい…




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