探偵の彼に追跡されて…
私が所長を諌めていると幸子さんがクスクスと笑ってお茶を入れてくれる。
彼女は猿渡幸子(サルワタリサチコ)さん。3歳になるお孫さんが居る主婦さん。
彼女は所長がこの事務所を開業した時から働いて居たのだが5年程前にご主人が脳梗塞で倒れて自宅介護をする事になった為、私がここで雇われる事になったのだ。
今は週に2日ほどご主人がデーサービスを利用いている間、息抜きを兼ねて私の手伝いをしてくれている。
「幸子さん。笑ってないで幸子さんも所長に言って下さいよ!」
「あっごめんごめん! でも美野里ちゃん諦めた方が良いよ! 所長のおもちゃやゲームを買うのは趣味なんだからさ! それよりプレゼント貰っときなさいよ! どうせデートって言っても太郎さんか花子さん絡みでしょ? 経費請求時に上乗せすればいいのよ! どうせ【WSHI法律事務所】からの仕事でしょ? あそこは無理を言ってくる割に支払いは良いからさ!」
太郎さんとは調査対象者の男性の事で女性の事を花子さんと呼んでいる。
「やっぱり幸子さんには分かっちゃうよね? うん。太郎さんの尾行なんだ。だから早く着替えてくれる? 時間もないからさ!」
「えーまたですか?… 私、事務員なんですけど… それに尾行だけならこのままでも良いですよね?」
「ちょっとそのままじゃね… それに今日は外暑いよ?」
このビルは周りを他のビルで囲まれてるから日当たりが悪い。そのうえ去年末からはエアコンが壊れていて暖房が効かないのだ。
所長は小さな電気ストーブを1つ買って来てくれたが足元を温めるだけの物で、所長がいつもそのストーブの前で猫のように丸まっているから、私には全然用を成していない。
その為インナーにはヒートテックを着そしてセーター。タートルセーターの様な洒落た物ではなく、今や死語となっているとっくりセーターと言った方がよいであろう母が編んでくれたセーターを着て、Gパンに靴下も2枚履き。
所長が入って来るなり点けたテレビで確かに先程から今日は初夏の陽気と言っている。
仕方ないか…この格好では暑いだろうから…
彼女は猿渡幸子(サルワタリサチコ)さん。3歳になるお孫さんが居る主婦さん。
彼女は所長がこの事務所を開業した時から働いて居たのだが5年程前にご主人が脳梗塞で倒れて自宅介護をする事になった為、私がここで雇われる事になったのだ。
今は週に2日ほどご主人がデーサービスを利用いている間、息抜きを兼ねて私の手伝いをしてくれている。
「幸子さん。笑ってないで幸子さんも所長に言って下さいよ!」
「あっごめんごめん! でも美野里ちゃん諦めた方が良いよ! 所長のおもちゃやゲームを買うのは趣味なんだからさ! それよりプレゼント貰っときなさいよ! どうせデートって言っても太郎さんか花子さん絡みでしょ? 経費請求時に上乗せすればいいのよ! どうせ【WSHI法律事務所】からの仕事でしょ? あそこは無理を言ってくる割に支払いは良いからさ!」
太郎さんとは調査対象者の男性の事で女性の事を花子さんと呼んでいる。
「やっぱり幸子さんには分かっちゃうよね? うん。太郎さんの尾行なんだ。だから早く着替えてくれる? 時間もないからさ!」
「えーまたですか?… 私、事務員なんですけど… それに尾行だけならこのままでも良いですよね?」
「ちょっとそのままじゃね… それに今日は外暑いよ?」
このビルは周りを他のビルで囲まれてるから日当たりが悪い。そのうえ去年末からはエアコンが壊れていて暖房が効かないのだ。
所長は小さな電気ストーブを1つ買って来てくれたが足元を温めるだけの物で、所長がいつもそのストーブの前で猫のように丸まっているから、私には全然用を成していない。
その為インナーにはヒートテックを着そしてセーター。タートルセーターの様な洒落た物ではなく、今や死語となっているとっくりセーターと言った方がよいであろう母が編んでくれたセーターを着て、Gパンに靴下も2枚履き。
所長が入って来るなり点けたテレビで確かに先程から今日は初夏の陽気と言っている。
仕方ないか…この格好では暑いだろうから…