【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「正直、紫乃ちゃんは脈なしだと思ってた」
敦弥に冗談混じりでそういうと
「俺もそう思ってた」
敦弥はすごい笑顔でそう言った。
「まぁ、とりあえずおめでとう」
「ありがとう、真白」
きっと、明日からはバージョンアップした敦弥からの惚気を聞くことになるんだろうな。
……でも、それも少しだけ楽しみだと思う、俺がいた。
「佐倉には言った?」
「まだ。これから言うつもりだけど、真白から言ってくれる?」
「敦弥からの方が喜ぶと思うけど。いつも気にかけてたから」
俺の何倍も佐倉は敦弥のことを気にしてた。
教室で大声で話す敦弥の恋バナは、佐倉の耳に自然と入ってきていたらしい。