ティアラ
腰に手を置いて、あたしは仁王立ちの態勢になる。

額に付けられた紙を、そっと剥がす彼。

「いい度胸じゃねーか」

多分、制服が水浸しになって、かなり汚れたから、ぶちギレたのかもしれない。

「な、何よ!!」

ちょっと恐いけど、絶対に負けたくない!!

深町はプイッと顔を背けて、家の中に入っていった。

小道具を持ったまま、彼の後ろ姿を見つめるあたしは、これからの壮絶な戦いに備えて、作戦を考える。

「ぜ、絶対に泣き顔を見てやるんだから!!」

パタンと閉まった玄関のドアに向かって、大きな声で叫び続ける。

あたしの声は静かな住宅街の向こうまで響いていた。
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