ティアラ
ムカつくから、アイツの自転車を蹴り飛ばしてやろうかと思った。

けれど、それさえも格好悪いことのように感じたあたしは、自転車の側へ寄るだけで、何もせずに家へ帰った。

帰りの電車では、たくさんの人がずぶ濡れのあたしを見ていた。

惨めで、格好悪くて、今すぐにでも消えてしまいたくて……。

「デートくらいならしてあげてもいいわよ!!」なんて言ってた自分が、恥ずかしくてたまらない。


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