あなたに恋をしたらダメですか?
車から出ようと、手をかけた時。陽悟さんの手によって、それは止められた。


「待って咲世ちゃん、ごめん俺の言い方が悪かったね…」
「………」
「あの、さ…。なんて言ったらいいかな。咲世ちゃんのことは、嫌いじゃないんだよ。こうやってドライブに来たり、映画館に行ったり。俺がこんなデート出来る相手って、咲世ちゃんだけだと思うんだ」


嫌いじゃない、とか。こんな風にデート出来る、とか。それってつまりはさ…。


「私を女として見れないってことですよね」


もうそれならそうと、ハッキリ言ってくれたらいいのにっ。


「いや、待って咲世ちゃん、」
「どうせ私は魅力なんか一つもないですよっ!緋紗子さんみたく綺麗でもないし、きっと陽悟さんの周りにいる女の人たちは、みんなお綺麗なんですよね!」
「待って、咲世ちゃんだって可愛いよ?」
「可愛いとか言われても悲しくなるだけです!」


可愛いと言われても、好きじゃないのなら、そんなの今となれば全然嬉しくない。


「咲世ちゃん…」
「もう陽悟さんなんか、大っ嫌い!緋紗子さんでも他の人とでも、毎日ずっと遊んで暮らせばいいんです!」


思ってもないこと言っちゃった…。大っ嫌いとか一つも思ってないのに、言った時にはもう遅くて…。


でも、私の口は止まることを知らなくて。


< 75 / 122 >

この作品をシェア

pagetop