海賊王子ヒースコート(2)

ダリウスとレイバンは揃ってエリオットを見遣った。

我らが船医である彼は今、船首の方で鼻歌を歌いながら洗濯物を干している。

それを手伝うアイリーンの姿も見られた。


「今日はよく乾きそうですね」

「うん。ちょっと風が冷たいけどね」


穏やかに会話する二人。

まるで恋人同士のような雰囲気を出す彼らにムッとしたのはヒースコートだ。

今まで愛用の拳銃を弄っていた海賊王子は二人の邪魔をするべくアイリーンに近寄った。


「乾かすには丁度良くてもこんな厳しい風、レディーには敵だ。君の綺麗な肌が荒れる。中へ戻ろうアイリーン」


優しく言ってそっと肩を抱いた瞬間。



――バーンッ!!



拳銃が鳴った。


「おっと、すまない。手元が狂ってしまった」


発砲したのは見張り役として同行している海軍期待の星、銀髪の大佐ギルバート・ロックウェルだ。


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