海賊王子ヒースコート(2)
彼が撃った弾はヒースコートの足元に減り込んでいた。
「危ないな。下手くそ」
「アイリーン嬢の周りにネズミがいたからな。大きな、ネズミが」
ヒースコートの下手くそ発言にも熱くはならず、冷静に返すギルバート。
彼は凍てついた眼差しで警告した。
「言っておくが、貴様が王の息子だろうと容赦はしない」
「ほう、どう容赦しないんだ?アイリーンに触ったくらいで殺すのか?嫉妬深い奴だな」
バチバチと火花散る。
「なになに、この一触即発っぽい空気。こっわ~い」
ギルバートの後ろに控えていたリチャード・モーガン少佐が明るく言ってみるも、状況に変化なし。
ならばと、黒髪眼鏡の少佐は話題を変えた。
「あ、ところで~。アイリーン嬢の部屋ってどうするんですか?ついて来ちゃったのは仕方ないとして、個室くらい用意しないと、野郎との相部屋だなんてあのシスコン提督が知ったらブチ切れますよ?」