対象外でも恋咲く
先輩である弘人が目を輝かせながら作業をする姿は見ていて微笑ましくなった。

紗和は弘人にたいして、普段から特に頼りにする部分はないが、助けてもらうことはあり、それなりに感謝はしていた。

それは仕事上で見ている部分であり、一人の男しては全く興味がなかったが、今は違っていた。子供っぽい一面を見て、母性本能がくすぐられてきている。

やばい…何でときめいているのよ。こんな裏で何を考えているか分からないイケメンに…。

紗和は自分の心の変化を認めないよう必死になった。

でも、弘人はそんな紗和を知らないから……


「うおっ! 出来た! すげー。ほら、菊池さん、見て見て出来たよ!」


満面な笑顔で喜びを表し、それを紗和に伝えてきた。

ドキーン!

イケメン嫌いの紗和でも、この笑顔にはやられてしまったようだ。

元々世話好きの紗和は少年っぽい男性に惹かれることが多い。

弘人がイケメンでなければ、このときめきが恋だと素直に認めたに違いない。
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