対象外でも恋咲く
「ヤバい気って、なんなのよ…」


ポツリと呟いたとき、タクシーは左に曲がって、瞳の視線から消えた。


そのタクシーの中で、弘人は頭を抱えていた。

俺は、一体何をしようとしてた?

運転手に声を掛けられなければ間違いなくキスをしていた。

気持ちを告げるとかいう以前に自分の気持ちもよく分からないのに、なぜキスをしようと?


自問自答を繰り返しても答えが出ない弘人は、またしても「お客さーん」と運転手に呼ばれてしまうのであった。



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