対象外でも恋咲く
「小沢さーん、ボールペンありました?」


ドアを開けて中に入ってきたのは紗和だった。

瞳は紗和を見て、体を強張らせる。ミーティング中に手を重ねていた二人を思い出したのだ。

親密そうに見えた二人はもしかしたら、付き合っているのかもしれない……。

誘われたからと安易に喜んではいけない。


「あったよ。今、戻るところ」


「なんかラーメンとか聞こえたんですけど、二人で食べに行くんですか?」


紗和はドアを開ける前に弘人の「ラーメンじゃないほうが良かった?」という声が聞こえて、二人で行くのを阻止しようとした。


「ううん! 小沢くんにおすすめのラーメン屋さんを教えてもらっただけ」


瞳は変な誤解をされて、揉めるのは嫌だと思い、咄嗟に嘘を吐く。


「あー、うん。そう、教えただけだよ」


弘人も面倒なことになりたくないと思い、話を合わせる。


「私もラーメン好きなので、小沢さん、そこに連れていってください。今夜なんてどうですか?」


「は? いや、今夜は用があって」


「じゃあ、明日はどうですか?」
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