さよならの見つけ方 第2章 *絶対温度*
髪を伸ばし、変声を迎え、アルバイトを始める。
背が伸びて、少し大人びて、話し方が穏やかになる。
それだけじゃない。
変わったのはきっと、そんなことだけじゃない。
クリスの心の中で、きっと何かが起こってる。
半年前の秋の日に、地面に手をついて泣いていたクリス。
涙で濡れた横顔と、綺麗な耳の形を思い出す。
チャドを失ったことはクリスにとっても、価値観や世界観が一変してしまうくらいの大きな出来事だったのだろう。
私の毎日がこんな風に変わってしまったのと、同じくらい。