しましまの恋、甘いジレンマ。
契約更新してしまいました


目が覚めて、部屋の鏡で顔をみたらやっぱり腫れてパンパンで
瞼もやぼったい。これはもう今日は家に帰る他何処にも行けない。
時計を見てすぐに学校に電話をして本日はお休み。

明日はおばさんの手術の日で仕事を1日休むはずだったけれど、
午前中は仕事に出よう。何となく気まずい。

「おはようございます」

パニックになった夜。知冬が二階に上がってこないか不安だったが
そのまま大人しく就寝してくれた。なにせ鍵がないから出入りは自由。
恐る恐るリビングへ向かうとコーヒーを飲んでいる彼が居た。

「おはよう」

でも何時もとちょっと違い何やらパソコンで作業中。

「もしかしてお仕事?」
「仕事は全て秘書を通すようにしてもらっていますから。
昨日したメールの確認ですよ、もうそろそろ返事が来る頃だと思って」
「メール?」
「両親に俺達の事を。何か問題がありましたか?」
「いえ、別に。あ、ご飯作ります」

私たちのこと。

やっぱり夢じゃないよね、ぜんぶ現実だ。

起きたら夢だったらどうしようってちょっと怖いと思っていた。
志真ははにかんで微笑み台所へ。まだ少し恥ずかしいけれど、
変に気を使ったりしないでいつもの様にしようと思う。


「志真」
「わっ」
「どうした?志真」
「別に!何でも!ないですけど!?」

思った途端に耳元で囁くように名前を呼ばないでください。
びっくりするし全身がゾワっとしてしまうから。

「メールの返事が来て是非君に会いたいとあったので、いいですよね」
「え。…ど、…どうしても?私、フランスへ行くの?」

どうしよう、そうなると色々と準備が。

「父親は日本に居ますから、母親が日本へ来てくれるそうですよ」
「え。いいんですか?ご両親一緒で」

離婚してるんじゃないの?それとも息子のためならってこと?

「ええ、若干鬱陶しいことになるでしょうが。きちんと両親に紹介したいので」
「…喧嘩にならない?」
「彼らに限ってそれはないでしょうね。いい歳をして毎日国際電話をして
飽きもせずに延々と愛を語り合っているくらいですから」
「愛。え。離婚してるんじゃ」
「いいえ。していませんけど、俺はそんな話をしましたか?」
「いえ…」

あれ、じゃあ彼の両親は別に離婚していなくてフランスと日本で別に暮らしている?
仕事の関係で離れているだけということ?知冬は親の話をあまりしなかったし、
なんとなく仲もよくなさそうだったから勝手に勘違いしていたけれど。

「そうだ。母親が来たら志真の家族とも会ってもらって食事しましょう」
「え、ええ。そう、ですね」

なんだか話が大きくなってきたぞ。

大丈夫かな。私。

プレッシャーに押しつぶされそう。

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