次期社長の甘い求婚
「お察しの通り、またヘマやっちゃって。でもあと少しで終わるから、気にせず上がってね」


ヘラヘラ笑いながら話す鈴木主任は、いつもの彼だ。

自然と口元が緩やかな弧を描いてしまう。


「鈴木主任もあまり無理せずに」

「ありがとう。……それと」


そう言うと少しだけ背伸びし、数名残っている同僚達に聞こえないよう、囁くように言った。


「昨日はどうもありがとう。……小野寺さんに愚痴を聞いてもらって、すっきりしたよ」

「……鈴木主任」


身体を戻し、にっこり微笑む彼に面食らってしまう。


「小野寺さんに聞いてもらうばかえりじゃフェアじゃないし、なにより俺は上司だし。……だから本当、小野寺さんが困ったことや誰かに愚痴を零したいときは、いつでも言ってね」


大好きな笑顔で掛けられた嬉しい言葉に、胸が熱くなっていく。


大丈夫、ゆっくりとかもしれないけれど、きっと忘れることができるはず。


「はい、じゃあそのときはよろしくお願いします」


つられるように笑顔で返事をすれば、鈴木主任はますます目を細め、顔を綻ばせた。
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