次期社長の甘い求婚
神さんのことなんて、まったく興味がなかった。

それなのに、なぜだろうか。

ドキドキさせられ、見つめられると金縛りにあったように目を逸らせない。


そして少しだけ、“神 恭介”という人間を、知りたいという欲求に悩まされている。



「とりあえず美月、今度の休日にデートしないか?」


「え、デートですか?」


「そ。昨夜の宿泊代や今着ている洋服代は、デートしてくれれば全部チャラでいいよ」


駆け引きに出た彼に、口をあんぐりさせてしまう。


「もちろん美月は断ったりしないよな?」


確信めいた目で見る彼に、唇を噛みしめてしまう。


「ズルイ人ですね、神さんって」


苦し紛れに言うものの、彼は全く堪えていない様子で、さらに私の動揺を誘うようなことを言ってきた。


「ずるくないと、美月の心は手に入らないから」

「……っ!」
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