次期社長の甘い求婚
隣に座る彼は、勝ち誇ったように。そしてどこか嬉しそうに笑っている。


その姿になぜか胸がキュンと鳴ってしまった。



神さんなんて恋愛対象外。

それなのに、昨夜からなに?


私ってば弱っているときに甘えられたら、誰にでも簡単にコロッといっちゃうような女なの?


めまぐるしく変化してしまった自分の気持ちが本当に信じられない。


私の気持ちの変化を知る由もない神さんは、「絶対振り向かせてみせる」と宣戦布告してくる。


本当は昨夜のことで、謝罪はもちろん感謝の気持ちも伝えたかった。


でも今の神さんを見ていたら、なんか悔しくて言えそうにない。


大きく気持ちを揺さぶられてしまっていることに、気づかれたくないもの。



自分の気持ちの変化に戸惑うも、どうしても思い出してしまうのは顔も知らない父親のこと。


神さんだっていずれ会社のために、相応しい人と結婚するに決まっている。


それなのにデートの誘いを最後まで断れなかったのは、確実に神さんに対する気持ちが変わってしまったからだった。
< 141 / 406 >

この作品をシェア

pagetop