次期社長の甘い求婚
ナンパ口調に顔が引きつっていく。


よくよく見れば先輩達の噂通り、彼の右頬にはまるで猫に引っかかれたような傷が、うっすら浮かんで見える。


その傷を見ると、次第に冷静さを取り戻していく。


あぁ、そっか。この人はそういう人なんだ。
噂通りの遊び人ってわけだ。


しみじみ納得してしまうと、目の前でニコニコと私の反応を待つ彼が憎らしく思えてくる。


きっと女性社員なら誰だって自分の誘いを断らないと、信じて疑わないんだろうな。


とんだ自信家だ。
けれど彼の家柄、容姿を考えれば自惚れて自信満々な性格になっても、仕方ないのかもしれない。


でもごめんなさい。
私は全く御曹司のあなたには、興味ありませんから。


顔を引き締めてから見上げ、ジロリと一睨みを利かせると、神さんは面食らったように目をパチクリさせた。


「すみませんが、退いていただけませんか? 手伝って頂けたのには感謝しますが、それ以外の感情なんて一切ありませんので」
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