次期社長の甘い求婚
一気に疲労感に襲われ、盛大に息を吐いてしまう。


「予想通りの人」


噂だけで判断することはないけど、彼の場合はまさに噂通りの人物なようだ。


今まで百戦錬磨だったんだろうなー。


そんなことを考えながら、資料室にファイルを閉まっていく。


そして今頃「なんだ、あの女は!」とか思っていそう。


それにしても驚いたな。

まさか一度も話したことないのに、私の配属先と名前を知っていたなんて。


けれど間違いなく、彼のプライドを傷つけてしまったはず。
もう二度と話し掛けてくることはないだろう。


最後の一冊を棚に戻し、オフィスに戻ろうと回れ右をしたとき、勢いよく資料室のドアが開かれた。


突然開かれたドアの先に、唖然と立ち尽くしてしまう。

そこに立っていたのは、神さんだったのだから。


「え……どう、して」


声が漏れてしまう。

彼がここに戻ってくることは、予想外な行動だったから。
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