次期社長の甘い求婚
神さんを好きって自覚した日から、一週間が過ぎた。

それなのに亜紀が呆れている通り、私はいまだに神さんに自分の気持ちを打ち明けられずにいる。


それにはちゃんと理由があって……というか、ただ単に神さんが忙しいからだ。


研修期間も残りわずか。
神さんは日々仕事に明け暮れている。


朝も早くから出勤し、連日残業は当たり前。
メールや電話でやり取りをしているけれど、顔は見れていない。


亜紀には散々早く告白しなさいって言われ続けているけれど、やっぱりちゃんと顔を見て伝えたいものじゃない?


「いい? 美月。恋愛ってタイミングも大切なのよ? どうするのよ、あんたがノロノロしている間に恭様が異動しちゃったり、心変わりされちゃったら」


「そうは言われても……」


こればかりは仕方なくないですか? けれど亜紀はそう思っていないようだ。


「仕事が終わるのを待ち伏せしたり、家まで押しかけるくらいのガッツを見せなさいよね」


強引で無理な提案に顔が引きつってしまう。


「そんなの無理に決まっているでしょ? ……何度も言っているけど、こういうのはちゃんと顔を見て言いたいし、神さんが大変なときに言うつもりはないから」
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