次期社長の甘い求婚
「それでは報告書のチェック、お願いします」


いつまでも大好きな笑顔を見つめていたら、気持ちが顔に出てしまいそうだ。

そそくさと退散しようと一礼した時、「ちょっと待って!」と呼び止められてしまった。


「あのさ、いつものお礼がしたいんだけど、今日は暇かな?」

「――え、お礼……ですか?」


まさかのお誘いに目が点状態になってしまう。

そんな私に鈴木主任は照れ臭そうに頭を掻きながら言った。


「ほら、俺いつも小野寺さんに迷惑かけてばかりでしょ? だからたまには上司らしくご飯くらい奢りたいなって思って」


これは夢? 

入社して一年。ずっと鈴木主任に恋してきたけど、ふたりで食事に行ったことなんてなかった。

会社の飲み会の席で、偶然にも隣に座れただけで天にも昇る気持ちになれたくらいだというのに、そんな彼から私……今、食事に誘われているんだよね?


信じがたい現実に言葉も返せず放心状態に陥ってしまっていると、勘違いしたのかまた鈴木主任は慌て出した。


「あぁっごめんっ! 迷惑だったよね!? しょぼくれた俺なんかに食事に誘われたって全然嬉しくもないよね。ごめんっ」


勝手に勘違いし、勝手に自己嫌悪に陥ってしまった彼にハッと我に返った。
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