次期社長の甘い求婚
それでもいつまでも指輪を持っているわけにはいかないもの。
少しでも忘れる努力をして、それでもダメだったらの話だ。


私だってできるのなら、もう一度人を好きになって幸せになりたいと願っているから。


「小野寺美月様ですね、お待ちしておりました」


プリンスホテルに到着し、ロビーで名前を告げるとすぐに対応してくれた。


お父さんがここに予約を取ってくれたのだ。


「お荷物こちらでお預かりいたします」

「あっ、すみません」


さすがは一流ホテルだ。
接客のレベルも高い。


今夜はここの最上階にあるホテルでお父さんと夕食を取ることになっている。
それまで時間あるし、部屋でゆっくりしていようかな。


そんなことを考えながらもホテルマンに案内されるがままやってきたのは、なぜか客室ではなく、ホテル内にある高級サロンだった。


「こちらへどうぞ」


とは言われるものの、素直に従うわけにはいかない。

「え、あのどういうことですか?」

意味が分からず問いかけると、すぐにホテルマンは答えてくれた。
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