次期社長の甘い求婚
すっかり押し黙らせてしまった神さん。

するとお父さんは神さんから私へと視線を移し、深い溜息を漏らした。


「まぁ……美月の気持ちを考えると文句も言えないがな」


みるみるうちに厳しい表情を崩していくお父さんに、目を見張ってしまう。


「美月、父さんはもう反対はしないよ。……今のふたりならきっとうまくいくだろう」

「お父さん……」


三年前はあれほど反対されたのに。


「恭介君の気持ちは分かりすぎるくらい、この三年間で伝えてもらったからな。……大切なひとり娘、一生幸せにしてくれるんだろ?」


ふわりと微笑み問いかけると、神さんは表情を引き締め真っ直ぐお父さんを見据えた。


「もちろんです。なにがあっても、一生大切にします」


神さん……。


お父さんを前に宣言してくれた神さんに、キュンとさせられてしまう。


なにがあっても、一生大切にしてくれる……なんて。

父親を前に臆することなく言ってくれた彼の愛情に、胸が締めつけられていく。
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