次期社長の甘い求婚
シンデレラになれるような幸運なんかじゃなくてよかった。

そもそも相手が悪すぎるでしょ。どうして王子様が御曹司なのかな。

あんな王道ヒーローなんて、一切望んでいないのに。


しかもなに? 本気って。……どうせなら本気じゃなければよかったのに。
そうすれば、こんなにも胸が痛まずに済んだのに。


好意を抱いてくれたこと、素直に嬉しかった。

しかも私の仕事の様子を見て、でしょ?


あんなこと言われて、心が揺るがない人なんていないよ。


けれど、どんなに素敵な人でも私は神さんが今の立場でいる限り、好きにならない。……ううん、好きになるわけにはいかないんだ。



駅へ向かう途中、思い出してしまう苦い思い出。


今でも思い出すと胸が苦しくなる。


私は平凡でいい。穏やかな幸せな暮らしができればそれでいいんだ。


ゆっくりとした足取りで最寄り駅へと向かい、家路に着いた。
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