毒舌王子に誘惑されて
「葉月もね、うちに来たときはひどいもんだったんだよ。 会社辞めるんじゃないかってくらい思い悩んじゃってね」

「えっ??」

編集長は秘密を打ち明けるように小声でそっと教えてくれる。

「葉月は文藝志望だったからね。小説家の担当編集者とか、そっちの方ね。
美織ちゃん以上に希望とずれた配属だったんだよ」

「え〜、文藝は意外ですね・・」

編集長と笑い合いながら、ふと葉月君が神永 一郎を好きだと言ってたことを思い出した。

そっか、ああ見えて前から文学好きだったんだ。

「今じゃ、根っからの週刊誌担当に見えるのになぁ」

「ほんとですね。 どうやって立ち直ったんですか? 編集長が今みたく励ましてあげたとか?」

「いや、俺が話をしてみようかなと思う前に自分で立ち直ってたよ」

「へ〜」

まぁ、順応力は高そうだもんな。
それとも何かきっかけがあったのかな。

いつか機会があったら、聞いてみよう。
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