毒舌王子に誘惑されて
『もしもし』

『もしもし、美織? こんな遅くにごめん。まだ起きてた?』

裕司の低音で優しい声は、昔と変わらず私の心をほっとさせる。

『ううん。風子と飲みに行ってて、今帰りなの』

『あぁ、風子ちゃん。懐かしいな、元気にしてる!?』

付き合ってた頃に何度か三人で食事もしたから、裕司も覚えているんだろう。




風子の言う通りだ。

裕司とは気心が知れてるから、話をしているとすごく落ち着く。
葉月君といる時のように、心臓が慌ただしく脈打つこともない。

もう大人なんだし、こんな風に穏やかな関係がやっぱりいいのかも知れない。

そんな考えが頭の片隅をよぎる。


『食事、明後日の金曜の夜にどうかな? 美織が忙しいなら、多少遅いスタートでも構わないし』

『うん、大丈夫。時間も裕司に合わせるよ』

金曜日はそんなに急ぎの仕事はなかったはず・・。
私は裕司の提案を受け入れた。

『じゃあ、8時半くらいにしとこうか?
昔よく行ってた恵比寿のイタリアンでどう?』

『わかった。じゃあ、また金曜に』
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