毒舌王子に誘惑されて
葉月君は繋いだ手をぎゅっと力強く、握り返してくれた。

掌からじんわりと全身に熱が広がる。
息苦しいほどに、身体が熱い。

私は上目遣いに葉月君を見る。
甘く、どこまでも甘く、視線が絡み合う。

「前にも忠告しましたよね?
俺、そんなに理性的な男じゃないって。
そういう顔されると、ヤバいんですけど・・・」

葉月君は私の顎を持ち上げると、キスできそうな程に顔を近づける。
煽情的なその眼差しは背中がゾクゾクするほどに色っぽく、私を挑発する。


「うん。けど、もう曖昧な気持ちじゃなくなったから」

私も負けずに葉月君を見つめ返して、言った。

「ーーっっ」

さっきまでの余裕の表情が消えて、葉月君の頬が見る間に赤く染まっていく。

「はぁ〜。美織さん、わかってて言ってるでしょ?」

葉月君の溜息に、私はクスリと笑みをこぼす。

「今すぐ部屋に連れて帰って、俺のものにしちゃいたいけどーー」

「今すぐ会社に戻って、原稿あげないと・・だもんね」

私達は顔を見合わせて、笑い合った。


会社に着くまでーーの条件つきで、私達は手を繋いで歩き出した。
初めてデートをしたあの時より、ずっと近づいた葉月君との距離に私は幸せを実感する。

願わくば、

たった一人の特別なこの人と、

ずっと一緒に歩いていけますように。
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