吸血鬼に甘い鎖を
次の日-------



「さあー、今年も毎年恒例!
『鏡の儀式』!!

年々人気の上がるこの会に
今回は役100名の人たちが参加してくれたぞ!!」



テンションの高い司会とともに、
スタート地点も一気にヒートアップ。


たくさんの人が拍手をする中、
私はひとりドキドキしていた。



あー・・もう、緊張するなぁー・・。



こんなに大勢の人が参加するなんて・・・。



「いいですか!?
真実の鏡が見せるのはたったひとつの願いだけです!
チャンスを逃しちゃだめですからねっ」



昨夜リリーナさんがそういっていたことを思い出す。



・・そうはいうけど、リリーナさん・・。


この人数は半端ないって・・。



ひとりはぁぁーっとため息をついていると、




「あら、誰かと思えば人間の」



「・・・!」



高い声に反応すれば、隣にはティナ。
長い髪をポニーテールに編み、この間とは違い
動きやすそうな服を着ていた。



「珍しい。
異界の人物であるアナタが、
この競技に参加するなんて・・。

どんなお願いをお持ちなのかしら?」



挑発するような言葉にむっとしつつ、
流されてはいけない、と鼓舞する。



「・・別に・・・。

あなたこそ、なにかかなえたいことでもあるの?」



「ええ、もちろん。決まってます。

まぁ私とクロ兄様の結婚はいずれ決まるでしょうけど・・。
形だけの結婚だけでは、つまらないもの」


「!!それって・・」



「クロ兄が手に入るのなら私はどんなことだってします。
たとえそれが、人為的なものだとしても」


そういって人ごみにまぎれてしまった。




・・あんな、人の気持ちを無視するような人には、
絶対に負けたくない。



何より・・・



私だって、クロト君が好きだから。



「・・クロト君」




愛しいその名を呟くと同時に。



パァンッ・・!!




スタートの空砲が鳴った。
< 162 / 168 >

この作品をシェア

pagetop