吸血鬼に甘い鎖を
「…ありがと、クロト君」




『なんだよ、急に』




なんでだろ…?



でも急に言いたくなったんだ。





「いーの。気にしないで。
人はそういうもんだから」




『おまえなー、
いっつもそういう理由で
済ませてるけど
そーいうのを
はぐらかしって言うんだぞ』



「知らないよー。
人にははっきり
言いたくないこともあんの」



…ぁ。




『ほら、また!
あんまりやると
いじめちまうぞ』



にやっとクロト君。




私はキッとにらみつける。




「…いじめられないもんだ。
クロト君は私のこと
大事にしてるから、
そんなこときっとできないでしょ?」



ギクッ。





痛いとこ疲れたクロト君が
汗を流す。





『…よくわかってんじゃねぇか』





「でしょ」



花嫁だもんね。



…って違う。



婚約者!




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