吸血鬼に甘い鎖を
「…全然、わかってないっ」


やっぱ好きじゃなかったかもっ!



『…咲…』


思わず呼ばれ、条件反射で振り向いてしまう。





そのとき見えたのは、
唇に触れるクロト君の姿。




ドキッ…。





「…ん…う…ッ」


苦しッ…!!!



熱い思いが、唇を通して
私に伝わってくる。



熱だけじゃなくて、
その見つめる瞳の輝きが
私をとらえて離さない。




『…これでも、まだ許してくれないのか?』




…それは、クロト君が
私を信じてるんだよ、っていう証明?




それとも、思いの強さ?




でもどちらにしたって、
今のキスに嘘はなかった。





クロト君はいつだって
まっすぐだから、こういう愛情表現しか
ないのかもしれない。





まっすぐで我儘で
自分勝手な吸血鬼の王子様。




そんな人に恋をするなんて、
私もどうかしているのかも
しれないけれど。






でも大好きな人と
結ばれることに、不安はなかった。
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